#4ホテル グランシェール花巻
花巻市は、岩手県の中央に位置する人口約9万2,000人の都市。いわて花巻空港や東北新幹線新花巻駅、東北自動車道及び東北横断自動車道など、岩手県内でも交通網の要所でもあります。
東北有数の温泉地である「花巻温泉郷」をはじめ、釜淵の滝や早池峰山などの美しい自然、ユネスコ無形文化遺産に指定される早池峰神楽や国指定重要文化財である兜跋毘沙門天立像、「ぶどうの丘」のワイナリーや美術館など、数多くの観光資源を有する花巻市。
何より、世界で愛される詩人・童話作家である宮沢賢治の故郷として知られ、市内には賢治のゆかりの地や賢治にまつわる施設が数多くあります。
そんな花巻市で、建設省(当時。現在の国土交通省)の管轄する開発事業「レインボープロジェクト」の一環として生まれたのが、ホテルグランシェール花巻でした。
1992年、宮沢賢治の従甥である宮澤啓祐氏が花巻レインボー開発株式会社を設立。翌1993年11月に同社がホテルグランシェール花巻を建設し、同11月30日より運営を開始しました。
そうして、20年以上に渡り、ホテルグランシェール花巻は地域の人々に愛され、運営を続けていました。
ところが、創業より長らくホテルの経営にあたっていた宮澤啓祐氏の逝去により、そのご息女である宮澤淑様がホテルグランシェール花巻を継いだのち、ほどなくして新型コロナウイルスという未知のウイルスが世の中を混乱に陥れました。やがて観光業界にも大きな影響が及び、当然、グランシェール花巻も例外ではありませんでした。加えて、長い間、大規模な修繕を行わずに営業してきたため、ホテル自体も全体的に老朽化が進み、今後も運営し続けていくためには抜本的な改修工事が必要な状況でした。
そんな中、宮澤様のメインバンクからの紹介で、リオにホテルグランシェール花巻を一緒に運営してくれないかとご相談がありました。
当時はリオでもホテル事業が拡大するさなかでもあり、また、お話しを聴く中で、宮澤賢治ゆかりの地にあって、かつその親族が長く運営してきたホテルともあり、大変魅力的に感じたのは言うまでもありません。
宮澤淑様と面会を重ね、コンサルティングを含め、運営のサポートを中心に検討することとなりました。
また、ご相談を受ける中で、宮澤淑様のご紹介で花巻市長 上田東一氏とも面会させていただくことに。そうして、グランシェール花巻を再生するだけでなく、駅前の立地を活かし、花巻の玄関口として駅前全体を元気にしたいというリオの想いを叶えるためのスタートを切ることができたのです。以後、花巻市もまじえ、宮澤家とタッグを組んで運営に取り組むことになりました。
まずリオが取り組んだのは老朽化したホテルの改修工事でした。
宮沢賢治の生まれ育った花巻に建ち、地域にも愛され続けている宮沢賢治ゆかりのホテルということもあり、リニューアル工事にあたって宮沢賢治の世界観・作品から着想を得たデザインをふんだんに盛り込みました。
「銀河鉄道の夜」を題材にした「銀河ルーム」、「注文の多い料理店」を題材にした「山猫ルーム」の2部屋のコンセプトルームや、賢治の愛した鉱物から着想を得た新設大浴場「ポクポクの湯」、同じく鉱物をイメージしたペンダントライトが印象的なロビーなど、随所に宮沢賢治を感じられるホテルに仕上げました。
また、施設内の営業されていなかった旧和食レストランは「宮沢賢治探検隊本部」に改装。宮澤家の協力のもと、関連する品々を収集し、展示することで眠っていたスペースを有効活用するだけでなく、訪れる人々に宮沢賢治や花巻市をより知ってもらえるきっかけとなる場所を目指しました。
更に、未使用だった旧婚礼会場フロアを全て客室に作り替え、全体の客室数を81室から103室に増やすことで受け入れ人数も増やし、既存客室については美装化も進めました。
ロビーラウンジやコンセプトルームには、地元の木材を扱う株式会社小友木材店の協力を得て岩手県産の木材を使用した家具を設置。
花巻市を元気にしたいという想いを同じくした地元企業の尽力もあり、2023年2月に竣工しました。
なお、改修工事にあたっては、花巻市の力添えや花巻温泉郷の旅館・ホテルとの協業により、「地域一体となった観光地の再生・観光サービスの高付加価値化事業」の補助金もいただくことができました。
同年3月、リオはホテルグランシェール花巻の改修工事お披露目会を開催。
宮澤家、上田市長、花巻市職員、地域の皆様、地域の子供たち、総勢130名のお客様をご招待し、生まれ変わったグランシェール花巻をご覧いただきました。
ほかにも、2023年11月には、ホテルグランシェール花巻の主催にて、「フォトロゲイニングin花巻2023」を開催。
ホテルスタッフが中心となってあらかじめ選定した宮沢賢治に縁あるスポット、花巻市に古くから根ざす地域の由緒あるスポットなどをチェックポイントとし、これらを制限時間内で多く巡り、獲得した合計得点を競うスポーツを、ホテルを起点に執り行いました。
開催にあたっては、チェックポイントに選定されたスポットをはじめ、地域の方々、そして花巻市にも多大なご協力をいただき、合計約100名からの参加申し込みを集めるほどの盛況に。イベントを通じて市外や県外からも多くの参加者が花巻を訪れてくださいました。
各種メディアでも報道され、ホテルのみならず、花巻市の魅力を広く伝えることに貢献することができました。
花巻市に隣接する北上市の北上工業団地には半導体大手子会社の一大生産拠点があり、同社が新たに第2製造棟を建設することとなりました。
これにより、工業団地の方や工業団地を訪れる方にホテルを利用していただける機会が増えることが期待できます。
また、新型コロナウイルスの影響で、数年間にわたり遠のいていた地域の人々による宴会場利用についても、改修したグランシェール花巻のお披露目会をきっかけとして、徐々に増えてきました。
日本のみならず世界で愛される宮沢賢治ゆかりのホテル、グランシェール花巻。
リオでは、このホテルをインバウンドも含めた観光利用・ビジネス目的など外来のお客様に選ばれるだけでなく、宴会・会議などで利用される地域の方々の交流場所としても、末永くあり続けたいと考えております。
地域の皆様と手を取り合い、花巻駅を、花巻市を盛り上げる一助となれるよう、これからもホテルグランシェール花巻の運営に取り組んでまいります。